レビュー:「赤髪の白雪姫 20巻」丸く収まるも、やや消化不良気味の木々とミツヒデの関係

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赤髪の白雪姫 20巻

『赤髪の白雪姫 20巻』は、前巻の内容(ミツヒデに求婚して木々が振られたこと)を木々からゼンに報告し、ゼンが2人の想いを聞く。その他、意図的に閉じ込められた!? 吹雪の中での宿屋内で白雪とゼンが……の、主に2種類3本立てレビューです。

19巻のレビューはこちら

ゼンと木々

ミツヒデに求婚し振られたことをゼンに報告した木々。ゼンは他メンバーと離れて木々と1対1で話すことにし、ミツヒデの想いと木々の気持ちを聞いた。ゼンの反応はやはりというか、前巻を読んだ読者と同じような顔をしたと思う。そして気持ちも読者と同じじゃないだろうか。「何故だ!?」と。

年齢も身分も近い男女が、結婚相手とはならずに大事な存在になる。それが木々にとってのゼンであり、ミツヒデにとっては木々である。……というふうに考え、ミツヒデの言い分を木々は納得したようだ。心が広いな、木々嬢。あのミツヒデの一方的な恋愛観のない言葉をそんなふうに捉えられるなんて、ミツヒデより精神的にだいぶ大人だ。

赤髪の白雪姫 20巻

数日絶縁オススメ(20巻:60ページより引用)

ゼンに報告した木々は、ミツヒデに告白した後のようにスッキリした顔をしている。未練なんてあるわけもなく、心の底から納得したような顔だ。そればかりか、「今はミツヒデを頼む」とゼンにお願いまでするなんて、気配りも完璧ではないか。もったいないほどいい女なのに……と思わずにはいられない。

なんというか、木々は本当にミツヒデと一時的に絶縁くらいしていいんじゃないかな。いや、してほしい。是非に。

ゼンとミツヒデ

木々の話を一通り聞いたゼンは、次にミツヒデと1対1での対話を始める。ゼンがこの先もちかけられる縁談はどうするのかとミツヒデに問うと、ずっと独り身でいると答えたミツヒデ。ミツヒデはあくまでもゼンを守るために生きていくと、かたくなに決意しているようだ。愛が重たいし頭でっかちだな、と思う。

赤髪の白雪姫 20巻

遂げたい本望(20巻:75ページより引用)

ミツヒデの本望は、ゼンを守るためだけに生きていくことのようだ。ゼンにもさすがに「それが全てと言っているように聞こえる」と突っ込まれるが、そこも完全肯定するミツヒデ。

ミツヒデの心には、いまだに以前あった出来事が重くのしかかっているようで、ゼンが命の危機にあっていたときに助けられなかったことを悔やんでいるというよりは、怖がっているように見える。愛が重いね。勝手に思い詰めて重い愛情を押し付けられているようだね。そりゃゼンに頭突き突進かまされても仕方ない。

赤髪の白雪姫 20巻

ゼンの頭突きはミツヒデの頭に届かない(20巻:82ページより引用)

前巻に出てきた「最も大切な思いが自身の全てである事と、芯である事はどちらが強いと思うか」だが、ミツヒデはやはり前巻同様「後者だと思う」と言っている。だが待てぃ! お前はゼンが自身の全てだと直前に言っているじゃないか! まだまだどころか思いっきり逆をいってるじゃないか! 読んだ瞬間声に出して突っ込んでしまったが、仕方のないことだと思う。

この矛盾はいつ正されるんだろう? それとも自分の解釈が完全に間違っているんだろうか? まあどちらにせよ、今回はこれで丸く(?)収まった感じになったようだ。個人的にはミツヒデと木々にはくっついてほしかったので少々残念である。

赤髪の白雪姫 20巻

心配した方がいいぞ(20巻:91ページより引用)

あえて今後2人に進展があるならば、それこそ木々に相手が決まった時ではないだろうか。木々はこれからミツヒデ以外の人との縁談を進めていくわけだから、その時にミツヒデがどう思うかが最後の壁か。超えるかなあ? もう超えなくても良い気はする(結構諦めムード)が、どちらに転んでも木々の幸せは望んでおこう。ヒサメも良いキャラだし。

雪山(の宿屋)で2人きり……なはず

ゼンのリリアスでの休暇もあとわずか。だからゼンと白雪が周りを気にせず2人でゆっくり出来る時間を作るため、ミツヒデ・木々・オビの3人は一計を案じる。旅籠屋に部屋を取り皆で食事をすると装って、意図的に遅れる。そうすればゼンと白雪が2人きりになれるという寸法だ。

赤髪の白雪姫 20巻

3人からの贈りもの(20巻:137ページより引用)

3人から贈られた2人きりの時間を堪能し、のんびり過ごすゼンと白雪。たまにしか2人きりにならないというのに、お互い特に意識もせず食べている間は普通だ。これは途中から3人も合流するとわかっているからこその落ち着きだろう。

だが窓の外を見てみると、いつのまにやら外は猛吹雪。どう見てもこんな天候では3人は旅籠まで来れないだろう。実際宿の人にも外には出るなと言われてしまう。2人きりでまさか泊ることになろうとは!?

 
赤髪の白雪姫 20巻

実は同じ宿にいる3人(20巻:143ページより引用)

そんな「まさか」はおきませんでした。

実は3人とも同じ宿の別部屋に待機。2人きりで食事をさせて後から何食わぬ顔で合流するつもりだったらしいが、吹雪のせいでどうごまかすかを考え始める。結局最後は成り行き任せに合流するわけだけども。

寝間着に着替えてすっかりくつろぎモードに入ったゼンと白雪は、部屋の外から演奏が聞こえてくるのに気が付いた。宿に泊っている楽団が、こんな天候だからとフロアで演奏してくれていた。部屋まで聞こえてくる音楽に、見に行こうと提案する白雪。それを止めるゼンが良い流れで良い雰囲気に持っていく。

赤髪の白雪姫 20巻

部屋を出る前に(20巻:156ページより引用)

この漫画は少女漫画にしては甘々成分が今一つ足りない感じがするので、3人の配慮はよくやった! と褒めたい。5人一緒というのも好きだけど、2人きりというシチュエーションは少なからずあってほしいと思う。

ゼンと白雪の仲は少しずつ縮まっているし、3人との絆も少しずつ深まっている。5人が揃って活動していると見ていて安心するし、読んでいて楽しくもなってくる。が、やっぱり個人的には恋愛もしっかりやってほしい。なまじミツヒデと木々がアレな感じに終わってしまったので余計に……。

次に5人が会えるのは、雪が解けた頃。かなりゆっくりな歩みではあるけれど、ゼンと白雪には今後の成長に期待したい。ついでにミツヒデも……。

赤髪の白雪姫 20
著者:
あきづき空太
価格:
¥ 432
ポイント:
43pt
レビュー:
5.0/5
出版社:
白泉社
内容紹介:
リリアスでの休暇を白雪と共に楽しく過ごすゼン。ある日、見知らぬ女性と歩くオビを発見し、あとをつけてみるが…!? 一方、ミツヒデと木々が休暇に合流! そこで木々が「ミツヒデに求婚して振られた」事をゼンに報…