レビュー:「ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻」 平穏を乱す(?)危ないコンビの交遊が終わるには早すぎたけど、僕は傑作だと叫び続けたい

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ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

好きな漫画が終わってしまう時、ザックリと2つのパターンに分かれます。満足して終わるか、早すぎると嘆くか。……ああ、どうして自分が好きになる漫画はこうも終わるのが早いのかと思慮してみれば、概ね“尖りすぎていたから?”という結論が導かれてしまう気がしているのだけれども、それはそれで結局のところ“自分の好みの問題なのだろうなぁ”と我が嗜好を見つめ直すばかりであります。もちろん、見つめ直したところで“改める”わけじゃありませんけど。

ブレ知らずな危ない二人

さて、ピヨ子と姫さまの交友録であるこの漫画だが、何よりも重要なのはこの二人がある種“サイコパス”と言わんばかりの性格をしているということだ。そして、それは2巻でも健在である。魔界的キャンプに行けば、“ゆるギャン(ゆるいギャンブル)”と称して姫さまはピヨ子からお金を巻き上げるし、キャンプは火が命と言って大量の燃料に火を付けて爆発(自爆)させる。他にも、町のSNS映えする写真を撮ろうとして個人宅(いつも被害にあう龍造寺さんのご自宅)の壁に無許可で落書きをしたり、良い写真を撮ろうとしたら事故が起きたり(わざとじゃない)、野球で一球勝負をすれば打者にボールを当てるなどなど。相変わらず、ブレを知らない“クレイジー”さは健在だ。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

もう、色々酷い(2巻:72ページより引用)

それでいて、極稀に良い話をもってくるあたりも、バランスが上手い。酷い話ばかりで荒んでしまった僕という読者の心を暖かくケアしてくれたカレーの話は、涙なくして語れない。いくら、ピヨ子と姫さまのコンビが“サイコパス”だのなんだの申したところで、なんだかんだとこの二人は自分たちに素直であり、自由であり、優しさを持っているのだ。……本当に、優しいのは極稀だけど。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

イイハナシダナァ……(2巻:145ページより引用)

母は強い、でも二人はもっとクレイジー

2巻でインパクトを残したキャラといえば、姫さまのお母さん。つまり、王妃さまだ。主役格のピヨ子や姫さま以外の人たちは比較的というか、かなり常識人(?)で占められているのだが、王妃さまは姫さまをはっきりと悪寄りにさせたというまさしく血のつながりを感じられるキャラである。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

迷惑をかける王妃さま(2巻:145ページより引用)

王妃さまは1巻の時点で家と魔界に縛られるのがイヤと家を出ていたのだが、姫さまの成長をみるために突如帰ってくる。その過程で新幹線で迷惑をかけたかと思えば、姫さまの学校の成績が悪く進級さえ危ぶまれているという現状を知り、学校創立当時にお金絡みで不正をしていた理事長に対し脅しとも取れる形で姫さまの進級を認めさせ、元夫である魔王様に惚れてしまった箕田さんに制裁を加えようとする。まさに、悪寄りな自由人。

そんな王妃さまをどのように止めたかと言えば、車を不意打ちでぶつけるというモノである。この時点で“ピヨ子って免許もってたっけ?”とか、日本だけど異世界(魔界町はそういう設定)だから許されるのか? とか、悪とはいえ母親跳ね飛ばして“ぐっ!”じゃないでしょうよ、とかツッコミしか出てこないが、想定の遙か上をいってくれるあたりはさすがの一言に尽きる。間違いなく、この漫画のブラックさが滲み出ているシーンだ。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

ぐっ! じゃない(2巻:98ページより引用)

吊川代表に多大な共感

もちろん、ピヨ子と姫さま以外の脇役たちもしっかりと活躍する。特に1巻で登場した生徒会長の吊川代表は吸血鬼で真面目でロリッ子体型という王道路線だが、そんな吊川代表が乙女系スマホゲームにハマってしまうという話は実に良かった。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

尊いのだ(2巻:38ページより引用)

乙女系スマホゲームにハマった吊川代表はコンビニ限定で発売されるキャラクターのアクリルキーホルダーを入手せんとコンビニへ向かうが、魔界町にある唯一のコンビニはピヨ子が働く店であり、姫さまが常連として通っている場所でもある。そんな状況でコンビニに行けば、遭遇しないわけがない。そして、乙女系スマホゲームにハマってしまった事を知られたくないため、雑誌を読んでごまかす。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

わ、わかるわぁ……(2巻:44ページより引用)

その後、乙女系スマホゲームキャラに諭されながら“好きなモノは好きと言おう”と決意したにもかかわらず、購入の土壇場で“妹たちに頼まれた”と言ってよく分からない後悔の涙を流すのだった。なんというか、真面目に生きてきたからこそ起こるこの葛藤。共感せずにはいられなかったです、ハイ。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

“妹に頼まれた”……わかりすぎるわぁ……(2巻:50ページより引用)

凄まじい瞬間風速で駆け抜けた傑作

先に結論を言おう。終わるには惜しぎて、早すぎた。このブログを開設してまだ半年程度、レビュー数もそこまで多くはないが、迷うことなくレビューが書けた漫画の一つだったし、日常ギャグ漫画系で異彩を放ち続けた一作だったし、次の巻が楽しみで楽しみでしょうがなかったモノだったし、“この絵柄にしてこの内容、凄すぎる!(語彙力の欠如)”って本気で思っていた。普段アニメをあまり見ない僕が、コレはアニメ化したらすげーんだろうなぁとか妄想さえした。それくらい僕は期待していたし、ピヨ子と姫さまのファンだった。だから、“僕は”この漫画を押し続けるし、賞賛し続けます。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

姫さまは、気高く、義を尊び(?)、そして美しい(2巻:165ページより引用)

絶賛しまくっている僕ではあるけれども、強いてわがままをいえば、姫さまのクレイジーな賞賛を受ける事ができる食レポを今一度やっておいて欲しかった。1巻の食レポは「ルーベラ」と「パックサンド」「バウムクーヘン」の3つだったが、特にこだわり抜いたであろうブルボン社の「ルーベラ」に関するお菓子レビューは意味不明なスケールで最高だったとしか言えない。2巻に同レベルのお菓子レビューがなかったことは本当に悔やまれる。……ルーベラ好きなのに、近くのお店はどこもおいてないのです……。

ともあれ、ひとまず筆を置く事になった漫画だけど、終わり方をみる限り再開は難しそうな気がしないこともない。とはいえ、あのクレイジーコンビなら何とでもやってくれるんじゃないかという淡い期待を抱かずにはいられなかった。似たような事を何度でも書くが、ここまで突き抜けた“とても腹黒いサイコ的コンビ”が織り成すクレイジー日常系ギャグ漫画はそうそうない。似た路線の漫画にやはり僕の好きなクレイジー漫画“リトルケイオス”があるような気はするが、それでもこの独特な雰囲気が凄く良かった。ある意味突き抜けすぎた可能性は否定できないけど、最後までキャラがブレることなく終わったことに感謝をしつつ、次の漫画にも期待を寄せたく思う次第であります。……心のどこかで再開も期待し続けます……。

ピヨ子と魔界町の姫さま 2巻

再開は一人あたり三ケタ万円の融資、ただし人数は不明(2巻:176ページより引用)

ピヨ子と魔界町の姫さま(2)
著者:
渡会 けいじ
価格:
¥ 580
出版社:
KADOKAWA / 角川書店
内容紹介:
魔界町では今日も今日とて、魔界的キャンプをしたり、悪魔的SNS映えを狙ったり、乙女的スマホゲームにハマッたり、そしてついには姫様のお母様である王妃様(真の悪魔…!?)が魔界町に戻ってきて…!?