レビュー:「とんでもスキルで異世界放浪メシ 1巻」ネットスーパーの万能さを思い知る

  • カテゴリレビュー
とんでもスキルで異世界放浪メシ 1巻

インターネットが普及した昨今、昔は尖りすぎてて金銭が発生しそうな雰囲気のモノはすべて遮断していたけど、今や便利なモノは利用しない方が損をする時代なのかなと思う。そんな便利なインターネットでも特に便利なのはお買い物。つまり通販。そしてネットスーパー。そんなネットスーパーの偉大さがわかる漫画『とんでもスキルで異世界放浪メシ 1巻』を紹介していこう。

ネットスーパーって偉大すぎない?ネットスーパーって偉大すぎない?

主人公は日本ではないどこかの『勇者召喚』に巻き込まれ、異世界に飛ばされた冴えない雰囲気のサラリーマン、ムコーダさん。そんな彼は、異世界モノのライトノベルでよく見かける“スキル”を取得するのだけど、そのスキルが『ネットスーパー』だった、というお話。一緒に召喚された学生(勇者)たちには笑われるけど、その多様性は計り知れない。だって、その便利さは『使った事があるなら誰でも知っている』のだから。

ムコーダさんの使えるネットスーパーは『EON』というお名前のまぁ、アレだ。そのネットスーパーではなんと現地のお金さえあれば食品から衣類、雑貨まであらゆるものが買えるという優れもの。それでいて、その世界にとっては日本の商品はすべて“超高品質”なのだから、ムコーダさんはとてつもないアドバンテージを手に入れた事になる。そんな世界を自由気ままに放浪するというのが、ムコーダさんの目的だ。

ムコーダさんの強さ

ムコーダさんが飛ばされた異世界は、剣と魔法のファンタジーな世界。中世ヨーロッパのような雰囲気で魔物も精霊もいる。言語はなんの問題もないらしいのが救いというべきか。

そんな世界でネットスーパーなる強力スキルを手に入れたムコーダは、実は戦う手段を持っていない。しかして、そこはサラリーマン。そのあり得ないほどの落ち着きっぷりで、冷静に状況を分析し、物事に対処していく。一緒に召喚された学生(勇者)たちとの年季の違いを見せつけてくれる。これが大人の余裕と言うヤツに違いない。

特に、召喚された城を出てからというもの、目立つスーツを売り平凡ないち庶民らしき服を買い、酒場にて食事をしながら情報を集め、宿屋に入りスキルのチェックを始めるという一連の行動。ライトノベルではパターン化された行動とはいえ、よくよく考えれば超冷静だ。
隣国までの危険な道すがらは、冒険者に護衛してもらおうと冒険者ギルドに赴き依頼する。自分の弱さをよくわかっているし、来たばかりにしては異世界に馴染んでいる。これがムコーダさんの強さの一つにも感じられるところだ。

簡単味付けでうなる美味しさの料理

初の冒険者との旅の前に、スキル『ネットスーパー』で旅の準備をするムコーダさん。簡易コンロに様々な食材、そして味付けの素の数々を買いまくる。ムコーダさんは無限に何でも入るアイテムボックスを所持しているため、調理に必要な鍋やコンロも包丁も持ち歩けるという寸法だ。万が一この世界に銃刀法があったとしても問題ない。そして、鑑定もできる。これまたライトノベルではよくある話だけど、まさに夢のスキルが揃っていると言って良い。ただし、“戦闘スキルは一切ない”のがムコーダさんなので、料理面で奮闘する事になる。

最初の冒険で披露した料理は『異世界のソーセージたっぷりポトフとパン』で、ネットスーパーにあった“コンソメ”を使ったわけだが、湯気が立ち上る熱々でたっぷりのコンソメスープに、ぶっといソーセージと具沢山の野菜がゴロっと入っている。そして厚切りのパンといったメニューは、通常の旅料理が干し肉か固いパンな冒険者たちにとって、とても魅力的に映る。そして、言うまでもなく、美味い。2回目の料理も『レッドボアの生姜焼き』という、イノシシ風なモンスターの肉に某社の“生姜焼きのタレ”を使ったモノ。甘じょっぱいタレの香ばしさは空腹にたまらん味だ。食べた事がある人なら誰でも冒険者たちに“同感”できるというのが、この漫画の面白いところだろう。

異世界であっても現代日本の料理を出す漫画は多いが、この漫画の場合は日本の食の技術により美味しく簡単に料理をする、という話が基本となっている。焼いてタレをかければ出来上がりだったり、煮てスープの素を入れれば出来上がりだったり。こんな簡単に美味しく作れるのも、ネットスーパーが使えるからなのだ。それでいてネットスーパーの食材を使った料理は、一時的にステータスをアップさせる力も持っている。簡単料理のなんと素晴らしき事か。

最強の魔獣こと、食いしん坊フェンリル

そんなあまりにも香しき生姜焼きのせいで、ムコーダさん一行は恐ろしくも美しい一匹の魔物に出会うことになる。伝説の魔獣、フェンリルさんだ。その存在は伝説化しているくらい有名で、人にとっては脅威の存在となっている。全体的に大きな狼といった風体で、真っ白でふっさーでもっふーとしている長い毛に覆われているが、4本の足だけは燃えるような赤い毛がはえている。そんなフェンリルさんは、当然牙も爪もするどいながらに、更に風の女神の加護を受けていて魔法も使えるという伝説に相応しい存在だ。

そんなフェンリルさんは、なんとムコーダさんと従魔契約しフェルと名付けられる。契約したことで戦闘に関しては最弱という他なかったムコーダさんが、とてでもなく強力な武器を手に入れたことになったわけだ。そして、フェルは結界も張れるという万能っぷりを発揮したことで、ムコーダさんの旅も安心安全が確約されたと言って良いだろう。

しかし、フェルはとんでもなく食いしん坊。なんと言っても契約した理由が飯に釣られてなわけだし。肉好きで野菜は嫌い。とにかく大食らいで結構グルメなのが面倒くさい。そんなフェルさんのために、毎日せっせと肉を焼くムコーダさんは苦労が絶えないのだ。しかして、しっかりフェルと良い関係が築けているのは、強い欲がないムコーダさんだからこそなのだろう。

本格的な旅の始まり

ともあれ、フェルを従魔に迎え隣国に到着したムコーダさんだが、これからが本格的な旅のスタートとなる。せっかく異世界に来たのだから、この世界を見てみたい。そんな一念で旅することを決めるわけだが、その気持ちはよくわかる、としか言い様がない。

もちろん、料理も健在で紹介した以外にもフェルに振る舞う『レッドボアのステーキ』や『挽き肉増量ミートソーススパゲッティ』といった料理がでてくるし、日本人にはなじみ深い白米も登場する。しっかり土鍋も用意できるあたりは、さすがネットスーパーというべきか。

ある意味、日本人だからこそ『料理の美味さ』が伝わる漫画とも言えるが、次はどんなタレやソースや出汁が出てくるのか楽しみである。そしてムコーダさんとフェルの旅はどうなっていくのか。今のところ使命もなくゆるい旅のスタートだが、次巻でもネットスーパーの活躍に期待したい。