レビュー:「絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻」不条理なBLあるあるを教えてくれるギャグ漫画

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絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

BLとは、ボーイズラブの略です。男性同性愛の作品です。つまり男同士の恋愛漫画や小説のジャンルです。主に腐ってる方々が好むものです。そんなBL要素があらゆる場に蔓延る世界に生まれ育ってしまったら、はたしてBLに染まってしまうのか? いいえ、努力次第では回避できるのです。知識を身に着け、立ちまくるフラグを避け続けること。それが出来れば自分だけはBL世界に染まらずに済むでしょう。

これは巨乳好きのドノーマルな主人公が、あらゆるBLあるある現象から回避する方法を教えてくれるギャグ漫画です。

気づいてしまった主人公

ある日突然、主人公は気づいてしまった。自分が生まれ育って来たこの世界が、普通の世界ではないことに。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

BL漫画の住人です(1巻:3ページより引用)

漫画の世界。しかもBL漫画の世界。何故気づいたかと言えば、ある程度の知識があれば予期出来てしまったから。例えば、男にはイケメンが多く、女には顔の造形があやふやな人が多い。よく見れば町の至る所でイチャイチャしている男同士の2人組がいて、学校で語り合っていれば談笑中の友人を連れ去る謎のイケメンが出現する。友人達とヤりたい女の話をしていれば、いつのまにか抱ける男の話にすり替わる猥談。そんな感じに恐ろしいほど女受けする設定がそこかしこにある状況を考えれば、嫌でもわかってしまうだろう。

だが主人公は自分の貞操は安全だと信じていた。何故なら平凡顔だから。家族全員がザ・平凡を地で行く一般庶民と言う名のモブである。イケメン同士の恋愛沙汰に巻き込まれるはずがない……と思っていたらこの世界、平凡属性はメインに据えられやすい場合もあった。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

平凡でも危険です(1巻:6ページより引用)

そこで主人公は親に孫を抱かせてやるため、更には巨乳好きとして、この世界に負けないと固く誓うのであった。頑張れ主人公、更なる知識を身に着け、理不尽なまでに立ちまくるBLフラグを回避し続けるのだ!

BLフラグの回避方法

フラグとは、特定の状況になるための事象のこと。伏線と同義語です。主人公は、どんな事からでもBLに発展してしまうフラグを回避することで、自分が同性と恋愛事にならないように頑張るわけだ。

では実際にどうやって回避しているのか。主人公は沢山のBL本を読み漁り知識を身に着け、フラグになりそうな要素を細かく学んでいく。こういう場合はこうすればいい、あんな場面ではこんなふうにすればいい等、前もってわかっていれば結構避けられるものだ。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

ぶつかってはいけない(1巻:11ページより引用)

目が合ったら暴力をふるわれるかもしれない。因縁をつけられてカツアゲされるかもしれない。だがこの世界では違う。BLの世界らしく、これもまたBLのためのフラグなのだ。そんなわけで、ぶつからないことこそが一番良い回避方法なのである。

さて、他の例も確認しよう。

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断らない(1巻:75ページより引用)

そう、関わらなければいいってものでもない。モブがモブたるには、目立ってはいけないのだ。うまいことその他大勢の中の一人に紛れこむのが良い。そもそも学生や社会人なら多少なりとも人と関わっていかなければならず、そんな中で一匹狼風を吹かせたところで目立つだけである。この場合は飲み会には普通に参加し、その上で更にいろんなフラグを想定して全て回避することが重要である。大変かつ疲れる飲み会になりそうだ。

もう一つくらい紹介しよう。

不良やヤのつく人が多々居ても、BL世界が故に治安は概ね良い。そんな町に暮らしていても、手を出してはいけないことはある。いや、BLフラグを回避したいのなら、大抵のことに手を出してはいけないとも思うのだが。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

いったいどんな内容なのだろうか(1巻:104ページより引用)

この“割のいいバイト”というのは、やはり普通とは少々違う。決して危険が伴ったり、痛い目にあったり、人生が変わってしまうようなことではない。……いや、貞操の危機だったり体の一部がとある行為のせいで痛くなったり、ある意味通常の生活とはおさらばしてしまうような人生観を植え付けられることはあるかもしれないが。

それは置いといて。ではどんなのかといえば、勿論BLの世界らしくBL内容に発展していく内容だ。そもそも不良と肩がぶつかっただけでフラグが立つ世界なんだから、バイトなんてしたらそれだけで何が起こるか。しかもそれが普通のバイトじゃなかったら……なんて、想像すればわかるだろう。BLを回避したいのならば、決して手を出してはいけない領域である。

いろいろと突っ込んではいけない

BL漫画の世界なだけに、突っ込みどころはかなり多い。例えばやたらと好きになった相手の男を“女のようだ”と思ってしまう現象とか。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

恋をすると目が悪くなる(1巻:17ページより引用)

好きな男子が早弁した挙句焼き肉弁当を買ってくるような食欲旺盛な若人だとしても、恋する男には華奢に見えてしまう不思議現象だ。恋は盲目と言うけれど、盲目を通り過ぎて違う世界のモノが見えているんじゃなかろうか。

相手が健康優良児である男でもこれなのだから、本当に華奢で可愛い女の子を見たらどういった感想を抱くのだろうか。例え恋愛感情はなくとも、見た目が可愛ければ素直に可愛いと思うのだろうか。しかし主人公は知っている。このBL世界において、可愛い子には注意が必要なことを。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

可愛い子に注意(1巻:88ページより引用)

さすがBL世界、可愛い女の子は大抵男の娘である。もしくは趣味や仕事上の女装、コスプレ、オネエ、何でもいいがつまりは男である。仮に「脱いだらすごいんです」なんて迫られたら違う意味を考えよう。その後の自分がエライことになりそうだ。回避するためには観察し知識をフル回転させ想像を働かせないと厳しいのだ。

あと突っ込んではいけないものと言えば、“女”の存在だろう。このBL世界の男女比率は標準だと思われる。女性同士でカップルになる人もいれば、普通の女性もいる(と思う)。存在感を放つ女代表の“姉”がいる男も多いことから、決して女性が少ないわけではないだろう。なのに何故男女カップルが少ないのか? それはここがBLの世界だからという理由に他ならないのだが、同性愛が蔓延りすぎて結婚出来るの? とか、少子化にならないの? とかそんなことは、決して突っ込んではいけない。

この漫画を最高に楽しめる人

この漫画の内容は最高です。簡単に言って面白い。けれどとりわけ面白く感じる人と言うのは、間違いなくBLを受け入れている人達だろう。

ここで個人的なことですが、私はあらゆるジャンルの漫画を読みます。恋愛もの、戦闘もの、歴史もの、ファンタジー、エッセイ、4コマ、日常、スポーツ、ホラー、ギャグ等々、まぁ割と雑食に。レズもBLも読みますし、もちろんエロ漫画なんかも読みます。好むもの好まざるものはありますが、読めるなら何でも読みます。

そんな私がこの「絶対BLになる世界-VS-絶対BLになりたくない男」を面白いと感じる理由は、間違いなくBLの知識があるためにあるあるの出来事が理解でき、許容でき、納得出来るが故です。更に非日常の世界だということも関係しています。

知ってる内容であっても、許容出来ない内容だったら面白いとは感じませんし、日常的なことなら「あー、そうだねぇ」程度で終わります。非日常だからこそ「確かに!」とか「そうそう!」と心の中でほくそ笑むどころか、思わず笑いが漏れてしまう状態になるのではないかと思うのです。所謂、妄想が捗って。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男 1巻

妄想が捗る方々(1巻:34ページより引用)

そんな感じなので、一番楽しめる人はBL好きな人でしょうが、BLの知識が少しばかりあるだけでも十分楽しめると思います。普段BLは読まないけれども知っている……それだけできっと楽しめるでしょう。もちろん男性女性は関係ありません。そんなわけでこの本は、知識が少しでもあればかなり面白いとお勧めできる漫画なのです。

最後に。個人的には弟君の今後を気にしつつ、2巻をものすごく楽しみに待ちたいと思います。

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男(1)【電子限定特典付】
著者:
紺吉
価格:
¥ 850
出版社:
祥伝社
内容紹介:
【電子限定!描き下ろし特典マンガ1P収録】気づいているんだ。俺はマンガの世界の住人…しかも、ボーイズラブの。
自分がBLマンガの世界の住人だと気づいてしまった主人公(※巨乳好き)。彼は迫りくるイケメン達を回避するため、BLマンガを大量に読み漁り、恋愛に発展しそうなシチュエーションなどの知識を得た。彼の身に着けた回避能力は今のところは無敵だが、そこは「BLの世界」…。次から次へと新しいシチュエーションで「BLの世界」のLOVEフラグが主人公に襲いかかる――!!
ふんだんなBLあるある取り揃えております。不条理!!メタい!!BLギャグマンガ!! 描き下ろし26P収録!